浅草の八百屋ではたらく大学生のブログ

ごく普通の大学生が、ひょんなことから浅草で一番大きな八百屋ではたらくことになり、日々感じていることをポツポツつぶやいていきます。

あなたは、三年物の自然薯(じねんじょ)にいくら払えますか?

 

浅草農園では、お客さんに試食を推奨しています。

 

いくつか理由があるのですが、個人的な見解は、

 

  • 浅草という土地柄、観光客=一度しか来店しないお客さんが多く、一発勝負なので、味も含めてその場で買うメリットを感じてもらう必要がある。浅草農園は(価格が)プレミアムなものの取り扱いが多く、味に納得しないと買ってもらえない
  • やはり味が一番記憶に残る。一度店頭を通りかかって試食してくれた人が、その場では購入しなくても、味を覚えていて帰りに買っていってくれることがかなりある

 

などです。

 

とはいえ、試食は、買ってくれるかわからない人(浅草農園の近くにはJRAがあり、決して裕福ではない、試食のみ目当てのお客さんも多い)も含めて振る舞うのでもちろんコストになります

 

今月に入り、年末年始ということで、昨年同様、良質な自然薯を仕入れました。静岡の牧之原という、お茶で有名な産地で、お茶農家の方が丁寧に育てた三年物です

 

20cmほどにカットした自然薯が二本入って、お値段1500円。

 

高いですか?お手頃ですか?安いですか?

 

高いと感じた方、若い方が多いのではないでしょうか?

 

高いと感じたのは、なぜだと思いますか?「そもそも食べたことないから価値がわからない」が大きな理由でしょうか。

 

ある程度裕福な方だけが買っていくだろう、と思いましたか?

 

決してそんなことありません。一般的なご家庭のご高齢の方が「安いわねえ」と言って買っていってくれます

 

 

私は、20代以下の若い世代の間に、生の食材に1500円払う文化が全くないのだと強く感じました。かといって1500円食事に使わないかといったらそんなことなく、原価が高くなくほとんど場所代と言っていいカジュアルカフェで、パンケーキのドリンクセットなどに1500円払います。

 

食材自体ではなくて、誰と食べるか、どんな空間で食べるか、という体験を買う文化が根付いているのだな、と思いました。

 

とはいえ、八百屋のスタッフとしてよくお客さんに伝えます。「若い人にこそおいしいもの食べてほしいです!」

 

もし若い読者さんがいれば、

 

  • 映画1500円
  • パンケーキ1500円
  • 六本木の芸術展入場料1500円

 

を一回だけ我慢して、1500円の絶品自然薯を味わってみるのも、長い人生ですし、アリではないでしょうか。